今週のニュースレターでは、BitcoinにおけるCovenantの議論の続きと、 サービスやクライアントソフトウェアの変更や 人気のあるBitcoinインフラストラクチャソフトウェアの注目すべき変更点などをまとめた恒例のセクションを掲載しています。

ニュース

  • OP_TXHASHの簡略化された代替案: Covenantを有効にするopcodeに関する継続的な議論で(ニュースレター #185参照)、 Rusty Russellは、OP_TXHASHによって提供される機能は、 既存のOP_SHA256opcodeとOP_TXHASHと同じインプットを受け入れる新しいOP_TXopcodeで提供できると提案しました。 この新しいopcodeは、支払いトランザクションからシリアライズされたフィールドをTapscriptで利用できるようにします。 そしてScriptはフィールドを直接テストするか(例えば、トランザクションのversionが1より大きいか?など)、 データをハッシュして以前提案されたOP_CHECKSIGFROMSTACK opcodeで署名と比較します。

サービスとクライアントソフトウェアの変更

この毎月の特集では、Bitcoinのウォレットやサービスの興味深いアップデートを取り上げています。

  • Blockchain.comのウォレットがTaprootへの送信を追加: Android用のBlockchain.comのウォレットv202201.2.0(18481)で、 bech32mアドレスへの送信のサポートが追加されました。 執筆時点では、iOS版のウォレットはまだbech32mアドレスへの送信をサポートしていません。

  • Lightningノード実装Senseiがローンチ: 現在ベータ版のSenseiは、 Bitcoin Dev Kit (BDK)Lightning Dev Kit (LDK)を使用して構築されています。 このノードには、現在Bitcoin CoreとElectrumサーバーが必要ですが、追加のバックエンドオプションも計画されています。

  • BitMEXがTaprootへの送信を追加: 最近のブログ記事で、BitMEXはbech32mへの引き出しのサポートを発表しました。 また記事では、BitMEXユーザーの入金の73%がP2WSHアウトプットで受け取られ、 約65%の手数料の節約になっていると述べています。

  • BitBox02がTaprootへの送信を追加: v9.9.0 - Multiv9.9.0 - Bitcoin-onlyの両方のリリースで、 bech32mアドレスへの送信のサポートが追加されています。

  • Fulcrum 1.6.0がパフォーマンスを改善: アドレスのインデックスソフトウェアFulcrumは、 1.6.0のリリースパフォーマンスが向上しました。

  • KrakenがProof of Reservesスキームを発表: Krakenは、信頼できる監査人を含むProof of Reserveについて詳しく説明し、 欠点と将来の改善についても言及しています。Krakenは、オンチェーンアドレスの所有権を証明するデジタル署名を作成し、 Krakenのユーザーのアカウント残高でマークルツリーを生成し、 オンチェーン残高がユーザーのアカウント残高より大きいこと監査人に確認するよう依頼し、 ユーザーが自分の残高がツリー内に含まれていることを検証するためのツールを提供します。

注目すべきコードとドキュメントの変更

今週のBitcoin CoreC-LightningEclairLNDRust-Lightninglibsecp256k1Hardware Wallet Interface (HWI)Rust BitcoinBTCPay ServerBDKBitcoin Improvement Proposals(BIP)、および Lightning BOLTsの注目すべき変更点。

  • Eclair #2164では、さまざまなコンテストにおけるfeature bitの処理が改善されました。 特に、インボイス以外の機能を必要とするインボイスが拒否されなくなりました。 これはインボイス以外の機能がサポートされていなくてもインボイスの履行に影響を与えないためです。

  • BTCPay Server #3395は、 ウォレットによって送信されたインボイスおよびトランザクションに対して受信された CPFPによる手数料引き上げ支払いのサポートを追加しました。

  • BIPs #1279は、一般的なsignmessageプロトコルBIP322仕様を更新し、 いくつかの明確化とTest Vectorを追加しました。