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Bitcoin Optech Newsletter #175
今週のニュースレターでは、Taprootのアクティベーションに関する情報とともに、 サービスやクライアントソフトウェアの変更点や、新しいリリースおよびリリース候補、 人気のあるBitcoinインフラストラクチャソフトウェアの注目すべき変更点をまとめた恒例のセクションを掲載しています。
ニュース
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● Taprootのアクティベート: 予想どおり、 Taprootのソフトフォークはブロック高709,632でアクティベートされました。 この記事を書いている時点では、いくつかの大規模なマイニングプールはTaprootの支払いを含むブロックをマイニングしていません。 これは、私たちが以前警告したリスクである、 Taprootのルールを提供する準備が出来ていることを偽って通知していたことを示しているのかもしれません。 或いは、Taproot適用ノードを使って使用するブロックチェーンを選択する一方で、 旧ノードやカスタムソフトウェアを使用してブロックに含めるトランザクションを選択するというリクスのない方法を採っている可能性もあります。
ユーザーや企業にとって最も安全な方法は、(Bitcoin Core 22.0のような)自身のTaproot適用ノードを実行し、 そのノードで承認されたトランザクションのみを受け入れることです。
サービスとクライアントソフトウェアの変更
この毎月の特集では、Bitcoinのウォレットやサービスの興味深いアップデートを取り上げています。
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● bitcoinjがbech32mとP2TRのサポートを追加: Andreas Schildbachは、bitcoinjのリポジトリにbech32mのコミットと P2TRのサポートのコミットを追加しました。
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● libwally-coreがbech32mのサポートを追加: このウォレットのプリミティブライブラリの0.8.4のリリースにbech32mのサポートが追加されました。
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● Spark Lightning WalletがBOLT12 offerを追加: Spark v0.3.0では、Offerの作成、Offer支払いの送信、プル支払いなどのOffer機能が追加されました。 将来のリリースでは、定期的なOffer機能の導入が予定されています。
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● BitGoウォレットがTaprootをサポート: BitGoは、APIを使用したTaprootアウトプットへの送信と受信の両方をサポートすることを発表しました。 将来のアップデートでUIでのTaprootのサポートが予定されています。
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● NthKeyがbech32mへの送信機能をサポート: iOSの署名サービスNthKeyが、v1.0.4のリリースでTaprootへの送信をサポートしました。
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● Ledger LiveがTaprootをサポート: LedgerのクライアントソフトウェアであるLedger Liveが、実験的な機能として v2.35.0のリリースでTaprootのサポートを発表しました。
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● MuunウォレットがTaprootをサポート: Taprootがアクティベートされた後、MuunウォレットはTaprootアドレスのサポートを有効にし、 デフォルトでTaprootの受信アドレスを設定できるようになりました。
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● KolliderがLNベースの取引プラットフォームのアルファ版を発表: Kolliderの最新の発表では、LNの入出金やLNAUTH、 LNURLのサポートなどを含むデリバティブプラットフォームの機能の詳細が紹介されています。
リリースとリリース候補
人気のBitcoinインフラストラクチャプロジェクトの新しいリリースとリリース候補。 新しいリリースにアップグレードしたり、リリース候補のテストを支援することを検討してください。
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注目すべきコードとドキュメントの変更
今週のBitcoin Core、 C-Lightning、Eclair、LND、 Rust-Lightning、libsecp256k1、 Hardware Wallet Interface (HWI)、 Rust Bitcoin、BTCPay Server、 BDK、Bitcoin Improvement Proposals(BIP)、および Lightning BOLTsの注目すべき変更点。
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● Bitcoin Core #22934では、 ECDSA署名とSchnorr署名の両方が作成された後の検証ステップが追加されています。 これにより、誤って生成された署名をソフトウェアが公開することで、 その署名に生成された秘密鍵やnonceの情報が漏洩することを防ぐことができます。 これは、以前ニュースレター #83で紹介したBIP340のアップデート (ニュースレター #87参照)で得られたアドバイスに従ったものです。
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● Bitcoin Core #23077では、CJDNSによるアドレスのリレーが可能になり、 CJDNSがIPv4やIPv6、Tor、I2Pと同様に完全にサポートされたネットワークになりました。 CJDNSがBitcoin Coreの外部でセットアップされると、ノードオペレーターは新しい設定オプション
-cjdnsreachable
を切り替えて、Bitcoin Coreがfc00::/8
アドレスをIPv6アドレスとして解釈するのではなく、 CJDNSに属していると解釈するようにできます。 -
● Eclair #1957では、BOLTs #759によるOnionメッセージの基本的なサポートが追加されました。 Onionメッセージのリレーは可能ですが、Onionメッセージの開始や受信はサポートしていません。
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● Rust Bitcoin #691では、公開鍵やオプションのTapscriptのマークルルートから P2TRのbech32mアドレスを作成するAPIを追加しました。
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● BIPs #1225では、BIP341にニュースレター #173で掲載したTaprootのTest Vectorを追加しました。